あたりまえに、誠実に、丁寧に。
昨秋、kinotoギャラリーの庭を手がけた庭師の方が三十代後半という若さで亡くなりました。
kinotoのお客様宅もいくつか手がけてもらい、誠実な人柄と丁寧な仕事ぶりから、
今後も長くお付き合いさせていただけると思っていたのでとても残念でした。
その庭師のお母様から先日お手紙を頂きました。
「梅雨に入り、草木が喜んでいる様子に、
亡き我が子が嬉々として鋏を動かす姿を重ね合わせます」
と、故人を偲んでおられました。
彼が提案して造ってくれた蓮池は、
もうじき可憐な淡いピンクの花を咲かせてくれるでしょう。
メダカが元気に泳ぐピオトープとしても道行く人を和ませてくれています。
棚やベンチまで設けられた葡萄棚には、三年目にしてようやく沢山の房をつけだしました。
「この葡萄でワインを作りましょう」と言って笑っていた彼の姿が目に浮かびます。
作者がこの世から去っても、作品と共に心が残ることを再認識いたしました。
家も設計者や職人の心が宿れば、住む人を守り続けることでしょう。
そのためには、あたりまえのことですが、誠実に、丁寧に作っていかねばなりません。
信頼を裏切らない会社であるために、私達もまだまだ、粉骨砕身頑張るしかないと決めました。
命ある限り。