kinotoというブランドの過去と現在、そして未来について。

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奈良のまちにロングデザイン住宅を。
その想いを育んだ原体験。

kinotoが誕生したのは2013年のこと。
母体である建築会社「株式会社アーキネット」から、
木造注文住宅に特化したブランドとしてスタートしました。

西吉野に生まれて林業を営んでいた祖父。
同じく西吉野で生まれ建築業界に進み会社をつくった父。
そして、その二人の背中を見ながら、奈良の古き良き街並みや田園風景の中で育った私...
自分を育んでくれたものと向き合う中で、
「産地が見える木材で、つくり手の顔が見える丁寧な家づくり」がしたい。
という想いを抱くようになったのが、
kinoto誕生の背景にありました。

一方で、関西の住宅市場は分譲住宅が半数以上を占めており、
とりわけ奈良エリアでは、大手による開発が進んでいました。
そのこと自体が悪いことだとは言いません。
しかし、大規模な宅地開発によって変えられた街並みはなかなか元に戻せない。
大量生産された素材・建材を使用した家は、
メンテナンスを怠るとたちまち劣化していってしまい、
せっかくの景観を残念なものにしてしまう...

少年時代から見続けてきた風景が変わっていく中で、
自分がやりたいこと、やるべきことは、
「普遍的で恒久的なロングデザインの家づくり」であると考えるようになりました。

求めている人は確かにいる。
でも、つくり手がいなかった。

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kinoto立ち上げの準備段階として、
私が理想とするロングデザインの家をいっしょにつくった数組のお客さまの話をうかがい、
1冊のブックにまとめていきました。そのとき、改めて見えてきたことがあります。

それは、分譲優位の住宅市場にあっても、
ロングデザインの家を求めている人たちは確実にいる。
そして、私たちと丁寧にかたちにした家で、
ここちよく暮らしていただけている...ということでした。
このときの発見を元に生まれたのが、
kinotoの最初のコンセプト「どこにもなかった、かたちとここち。」でした。
「例え少数でもロングデザインの家を求めている人たちがいるのなら、
それをかたちにしていこう」。
そんな想いを込めた言葉です。

そもそも、本格的な木造注文住宅、
いわゆるデザイン住宅の市場自体がないに等しい当時の奈良エリアにあって、
敢えて「ない市場」を切り拓こうと決意できたのは、
お客さまの声と想いがあったからこそだと思います。

実は最近、当時建てた家におじゃまする機会がありましたが、
10年近い時間を経てもなお素直に「心地いい」と感じることができました。
これは、決して自画自賛ではありません。
なぜなら、その心地よさは、
建てた私たちの設計や技術だけの力だけでは生み出せないものだからです。
長いときをそこで過ごしてきたお客さまの暮らし方が、
建てたとき以上の魅力や心地よさをつくり出している。
何よりもその事実に感動しました。

新しい暮らし方を提案していく。
新しいふつうをデザインしていく。

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kinotoの家づくりには、ひとつに定まったスタイルがありません。
それは、プランニングする上で、そこで暮らす人が今求めていることに応え、
5年後、10年後、20年後に必要になることを読み解いていくことを大切にしているから。
つまり、「対話を重ねたお客さまの数だけ正解がある」。
kinotoが目指すのはそんな家づくりです。

定まったスタイルはありませんが、大切にしているポイントはあります。
それは、長期的な視点に立った使い心地の追求。
キッチンやパウダールーム、ウォークインクローゼットといった、
家事に重きを置いた提案が多いのは、
日常のちょっとした時短や便利さ、快適さを高めることで、
その先、数十年に及ぶ暮らし方を快適にしていただきたいから。

こうした提案が多くのお客さまに受け入れられ、
かたちになっていく中で、
「kinotoの提案を特別なことではなく、新しいふつうにしていきたい」という想いが強くなり、
2016年、「どこにもなかった、かたちとここち。」という、
ある種、お客さまの「受け皿」のような存在をイメージしてつくったコンセプトを、
「This is NORMAL.=これがふつうである」にリニューアルしました。
「新しい暮らし方を提案し、新しいふつうをデザインしていく」。
kinotoの新たな挑戦がはじまりました。

柔軟だから広がる。
多様性があるから成長できる。

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kinotoの家づくりに一定のスタイルがないという特徴には、
ひとつのこだわりがあります。
それは、社外の建築士やデザイナーと積極的にコラボレーションすることで、
多様なニーズにお応えしながら、
社内の設計力も磨いていく。という柔軟な姿勢。

これは、私が音楽活動をしていた頃の師匠、
村上ポンタ秀一さんの言葉である、
「いいドラマーになりたければ、ひとりの師につくな」と通じるものでもあり、
お客さまにとっては選択肢が増え、
協業先との切磋琢磨も進む、メリットの多い設計スタイルです。

しかし、このスタイルはどの会社でもできることではありません。
なぜなら、多様な設計をかたちにするには、高度な施工技術が必要不可欠だから。
kinotoには、長年にわたって木造建築を手がけてきた熟練の専属大工たちがついており、
難しいデザインも細やかにかたちにできる。これも大きな強みになっています。

多様な設計を柔軟に取り入れ提案していくこと。
その中で互いに高め合える関係を築いていけること。
それをかたちにできる確かな技術があること。

この三位一体の力があることは、まちがいなくkinotoの大きな強みであると言えます。

家の「内側」から「外側」へ。
まちづくりの担い手を目指して。

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家づくりを続けてきて日々感じるのは、
「私たちが日々つくっている家には、地域を変えていく力がある」ということ。

解体や整地工事がはじまり、地鎮祭を経て、kinotoののぼりが立つ。
それだけで、地域の目を集めることになりますし、
近隣に暮らす人たちの住まいに対する関心が高まることを肌で感じるようになりました。
実際に、新築を建てはじめたエリアで、別のお客さまからリフォームのご相談があったりするのは、
そのわかりやすい例です。

また、最近は、店舗やクリニックなどを手がけることもあり、
人が集まる空間が生まれることで、その地域が活性化し、
新しい人の輪が生まれていくというケースも増えてきました。

kinotoの家づくりは、今、家というプライベートな空間のクオリティを追求することから、
徐々に、家を取り巻く街並みや景観というパブリックな場へと広がりはじめています。
街並みや景観...地域の魅力は、そこに住む人にとっての共有財産であり、
家のつくり手である私たちにとっても重要な意味があります。

私をはじめ、多くの人たちが愛してきた街並み、景観を、
家づくりという事業を通じて、いかに保ち、いかに高め、いかに次代へと継承していくか?
奈良に限らず、家づくりを手がけるすべての地域でその答えをかたちにしていくことこそが、
これからのkinotoの使命だと考えています。

家づくりから、まちづくりへ。

世代や時代を超えた視点に立ち、
そこに暮らすお客さまとともに地域の価値を高めていける。
そんな住宅ブランドを目指し、
kinotoは挑戦と成長を重ねていきます。

2022年1月
kinoto代表 向井克隆

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    001コラム、はじめます。
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