Interview

016. 築30年の家を、子どもたちとの未来を築くあたたかい空間へとリノベーション

どちらかと言えば、「新築の注文住宅」のイメージを持たれることが多いkinotoですが、決してそれだけではありません。店舗や病院の設計、マンションの一室のリノベーション......さまざまな空間づくりを手がけているのです。今回は、「一戸建てのリノベーション」を体験されたKさま一家のお家にうかがい、お話を聞いてきました。築30年の住宅を、理想の住まいにつくりかえた軌跡を辿ります。

4人家族の未来を考えて。
"自分たちの家"を検討するように。

以前はURの賃貸住宅に住んでいたというKさま一家。

「下の息子が生まれ、4人でマンション暮らしを続けることに限界を感じていました」と話すご夫婦が、リノベーションを選んだ理由について聞かせていただきました。

「結婚してからずっと住み続けている登美ヶ丘は、私の地元でもあります。この辺りは環境がいいし、子育てもしやすい場所なので、住むエリアはこれからもあまり変えたくないという想いがありました」と、奥さま。

「新しくマンションを買うとなると、車の駐車場代金などが別途かかるし、マンションよりは戸建てがいいかもね」「自分たちの予算を考えると、新築よりも建売住宅や中古物件の方がいいのかな」「子どもたちのことを考えるといちばんいい選択は何だろう......」と、もやもやと悩んでいたタイミングで、Kさまご夫婦はkinotoに相談へ。

「住まいについて何もわからないから、とりあえずプロに話を聞いてみようと、以前から気になっていたkinotoにコンタクトを取ったんです。そしたら、新築で建てるなら予算がどれくらいか、リノベーションにするならどんなところに注目すればいいかなと、丁寧にアドバイスしてもらえて」と、奥さま。

自分たちの希望する条件と、kinotoからのアドバイスを照らし合わせていくうちに、自然と見えてきたリノベーションという選択。その信頼感もあって、kinotoへの依頼を決断できたそうです。

アレルギー体質のお子さまの健康を考えて。
専門的な判断は、kinotoに相談しながら。

「実は、上の子がアレルギー体質なんです。食べ物に反応することが多いんですが、肌も弱いし他にもいろいろなものに対してアレルギー症状が出るんじゃないかと心配で。だから、家の素材に対してもなるべく安全なものを選びたいという想いがありました」

確かに、建材、断熱材、接着剤、塗料......それらの原材料によってアレルギー反応を引き起こしてしまう可能性は否定できません。安全面についてはかなり慎重になったと話す奥さまですが、家族にとって安全かどうかを判断するには専門的な知識が必要になってきます。kinotoは、まさにその専門性をカバーしてくれる存在だったそう。

「kinotoはどんな相談もしっかり聞いてくれました。"それなら、こんな選択をした方がいいですよ""お子さまのことを考えるのなら、こっちがいいんじゃないですか"と、アドバイスもすごく的確にしてくれて」と、奥さま。

何度も相談しながらKさま一家が選んだのは、およそ築30年の2階建て。庭に囲まれ、隣の住まいとは道路1本分の距離があるので騒音を気にすることもなさそうで、バス停もすぐ近く。大通りから離れているため静かで、小学校にも通いやすい立地。確かに、子育て中のご家族にとって、申し分ない条件が揃っています。

「kinotoとの会話で印象に残っているのが、"何が変えられないって、環境がいちばん変えられないですからね"という社長の何気ない言葉。家の状態は変えようと思えばいくらでもリノベーションで変えられるけど、周りの住宅との距離、陽当たり、自動車などの騒音の有無、駅やバス停の場所......そういう部分は自分の力ではどうにも変えられないもの。だから、周辺状況はしっかり吟味するようにしていました」と、ご夫婦は当時を振り返ります。

毎日の家事もラクになる、
ぐるりと回遊できる空間設計。

住む家が決まれば、次はその家をどうリノベーションするかを考える段階へ。Kさま一家の場合は、2階の個室スペースは現状をそのまま活かし、1階スペースをメインにリノベーションすることに。

「まずは、kinotoのスタッフさんを連れて、家の状態を見てもらいました。"この壁って抜けますか?"や"ここはこうしたいんですが......"と、自分たちのやりたいことを伝えながらその場である程度できる・できないを判断してもらって。私の希望として、"1階で生活のすべてを完結させたい"というのがあったので、家事動線は特に気にしましたね」と、奥さま。

新しく生まれ変わった今の家は、玄関から入って廊下をまっすぐに進むとリビングへ。右手へ進むと、元々和室だった場所を活用したクロークがあります。さらに、クロークを突き進むと、こちらからもリビングへ行ける仕様に。

また、バスルームやリネンルーム、トイレもすべて1階に集約。ぐるりと一周できる設計になっているため、毎日の家事もスムーズに進みそうです。

ちなみに、この構造は子どもたちにとってもベストだったようで、毎日ふたりで1階を走り回って遊んでいるのだとか。

「もともと和室だった場所を、半分はクロークに、もう半分はリビングと地続きになったキッズスペースのような空間にしました。将来的に、お子さまが机を置いて勉強することも意識しています。それから、ここにある木の柱と壁の間にあえて小さなスキマをつくって、キッチンで料理をつくっているときもなるべくお子さまの様子が見えるようにしました」と、kinotoのスタッフ。

木の柱は、実はもともと鉄骨製。家の構造上、どうしてもこの柱を外したり、移動したりすることができず、空間と調和するために薄い木の板で周りを囲ったそう。柱の雰囲気は、木のぬくもりを感じるリビング空間にしっくりと馴染んでいます。

「リビングと廊下を隔てる扉はガラス製にしたんですが、実はこれ、お子さまたちが学校などから帰ってきたときに姿が見えたらいいなと思ってご提案したんです」と、kinotoのスタッフによる粋な計らいも知ることができました。確かに、これなら扉が閉まっていても2階にあがる様子が伝わります。

「家族みんなでお風呂」を、より快適に。
4人全員で入れる、ひろ〜いバスタブ。

「広くてのびのびしたバスルームは僕のこだわりです。うちは毎日家族みんなでお風呂に入るんですが、以前のバスタブだと4人ではかなり手狭で。広さは絶対に譲りたくないと相談したら、もともと洗面室の隣にあったトイレを階段下へ移動し、そのスペースを使ってバスルームとリネンルームを広くしてもらえたんです」と、ご主人。

リノベーションと言うと、水回りの設備などはあまり変えられない印象がある方もいるかもしれません。でも条件さえ合えば、こんなにも理想を叶えた設計につくりかえられるのですね。

ちなみに、将来的にはリネンルームにガス衣類乾燥機を導入するつもりなのだとか。そうした将来を見越した計画も踏まえて設計してもらえるところも、嬉しいポイントです。

こだわりのキッチンは、
お洒落と使いやすさを両方大切に。

広くて大きなキッチンは、奥さまのこだわりがふんだんにつまった場所。どんな風に、設計を進めていったのでしょうか。

「もともと、キッチンは対面式じゃなかったんです。出窓の方を向いて調理する設計になっていましたが、これを対面式に変えて、傷が目立ったのでステンレス材からタイルに変えたりして」と、kinotoのスタッフ。

「そうなんです。すごく素敵なキッチンにしてもらえました。私が最初からずっと、モールテックスのキッチンにしたいと希望していたので、それを叶えてもらったのも嬉しかったですね」と、奥さま。

料理や洗いものをしている様子がリビングから見えないよう、対面カウンターをあえて高めに設計しているのも、ちょっとしたこだわりなのだとか。確かに、片付けなどが行き届いていないタイミングに急な来客があっても安心して迎えられそうです。

ちなみに、立ち上がりやワークトップなどもすべて一般的なサイズより高めになっています。と言うのも、ご夫婦ともに背が高く、賃貸マンションに住んでいたときはよく洗いものや家事をしているときに腰が痛くなっていたのだとか。子どもたちもいずれは平均身長よりも伸びるだろうと、Kさま家族にとっていちばん理想の位置に設定されたのだそう。

「本当は、奥さまがパントリーの増設をご希望されていたんですが、スペース的になかなか難しくて。その分、十分な収納スペースを設けることで快適なキッチンを目指しました」と、kinotoのスタッフ。

「以前の住まいより、料理が格段にしやすくなりました。洗面スペースは広いし、収納には困らないし、高さもちょうどいい。それに、出窓がすごく気に入っていますね。もともとあったものなんですが、太陽の光をキッチンに取り入れてくれるので、より開放感があって」と、奥さまは嬉しそうに言います。

すこやかな安心を与えてくれた、漆喰の壁。

「自分たちのこだわりを優先してもらったところもあれば、kinotoの提案をそのまま取り入れたところもたくさんあります。例えば、リビングの壁。予算を抑えるために最初は接着剤で希望の壁紙を貼り付けてもらう予定でしたが、"息子さんのアレルギーが心配なら、ここは絶対にこだわった方がいいです!"と言われて自然素材の塗り壁にしてもらいました」と、奥さま。

その選択が間違っていなかったと確信できたのは、引き渡し後、Kさまのご両親が遊びに来てくれたとき。

「新築の家って、接着剤や素材などのにおいが気になったりするじゃないですか。でも、この部屋に入るなり両親が"ツンとしたにおいが全然しないね"と言ってくれたんです。その言葉を聞いて、子どもたちにとっても快適な選択ができたと安心しましたね」

また、庭を囲う塀も、kinotoの提案で石垣から木製のものに新しくかわっていました。これは、地震が起きたときの安全性を最大に考えての選択だそうです。

リノベーションは、理想を叶えるベストな選択肢。
予算も、エリアも、設計も。わがままに応えてくれる。

中古の物件を好きにつくりかえて、新しく住まうリノベーション。Kさまご夫婦は、改めて「私たちにとって、これがベストだった」と言います。

「家づくりは、どうしても予算がかかってしまうもの。限られた予算でより理想の空間に近づけられるリノベーションは、いちばん私たちらしい選択だったと思います。私はアンティークな家具やヴィンテージな小物が好きなタイプでもあったので、"誰かが長年大切に住んでいた家"に移り住むことがむしろ楽しみだったぐらい」と、奥さま。

「もちろん、新築でいちからすべてオーダーできるのもステキだなと思いますが、そうすると僕たちの場合は土地条件を妥協したり、予算面で無理をしたりと、どこかでデメリットが生まれてしまったはず。理想のエリアに住めて、予算内で建て替えられて、おまけに自分たちの理想に近づけられる......リノベーションを選んで、本当によかったです」と、ご主人も続きます。

最後、おふたりに「kinotoの好きなところはどこか?」を尋ねてみると、「どんなときも良い・悪いの意見をズバリと伝えてくれるところ」という答えが返ってきました。

「私たちは建築に関する専門知識がないので、"それはやめておいた方がいい"や"絶対にこっちの方がいい"と伝えてもらえるのがむしろありがたくて。私たちの理想を理解してくれているからこそ言ってくれてるんだ、というのもしっかり伝わってきましたしね」と、奥さま。

リノベーションだからこそ生まれた、"Kさま一家らしい家"。

子どもたちの笑顔がこれからも、たくさん、たくさん、ふえていきますように。