Interview

011. 新しい生活様式に合わせてつくった、家族みんなが快適な家

生駒山と矢田山の山あいを結ぶ国道から少し逸れた場所。そこに、Hさまのお住まいがあります。「この道は地元の人しか通らないんですよ」。そう教えられた生活道路を奥へと進むと、特徴的な外観のお家が見えてきました。畑や田んぼに囲まれた自然豊かな場所で、自分たちらしい暮らしを手に入れたHさま一家。日々の生活や家づくりのきっかけについてなど、さまざまなお話を聞いてきました。

自分たちの好きをかたちにしたい。
kinotoなら、叶えられる予感がした。

「以前は東大阪市のマンションに住んでいました。ずっと"自分たちの家を建てる"という話はしていたものの、具体的な話まではできていなくて。でも、息子を何度も転校させてしまうのは可哀想だと、小学校入学前のタイミングで一旦、僕の実家がある奈良県内に引っ越したんです」と、ご主人。

ご主人の実家近くにあるアパートへ移ってから本格的にはじめた家探し。最初は、中古物件を買ってリノベーションをする、近場で土地を買って注文住宅を建てる......など、いろいろと迷われていたそう。

「いちから土地を探して家を建てるとなると、なかなか理想通りにはいかなくて。土地の広さはこのぐらい必要だよね、でも、予算を考えると最寄り駅からある程度は離れてしまうよね......と悩んでいたところ、僕の父親が持っている農地を使わせてもらえることになったんです」

今のお家があるのは、もともとご実家の畑があった場所。そこなら息子さんも転校の必要がなく、条件的にも最適だったそうです。

しかし、当時はちょうど新型コロナウイルスの影響が日本にも及びはじめていた頃。急激に生活様式が変わりゆく中で、どのように家づくりの依頼先を決めたのでしょうか。

「最もよく見たのはSNSですね。こういう間取りがいいね、こういうインテリアを揃えたいねと夫婦で話しながら住宅メーカーや工務店を調べていました。でも、どれもイマイチしっくりとこなくて」と、ご主人。

ご夫婦共にシンプルやナチュラルといった雰囲気の空間やインテリアに惹かれていたそうですが、好きのイメージが具体的になるほど「ある程度型が決まったプランよりも、新しくいちからつくれる注文住宅が私たちには合っている」と感じたそう。kinotoに出会ったのは、ちょうどそのタイミングだったとか。

「近所に建設中のお家があったんですよ。そこの看板にkinotoと書かれていて。どんなところだろうと検索したのが最初でした」

「サイトを見たら雰囲気が僕たちの好みにピッタリだったので、ちょっと話を聞きに行ってみようかと。それ以降、建設中の家がどんな風に完成するかがすごく気になって、わざわざ出掛けた帰りに遠回りして様子を伺ったりしていました」と、ご主人。よくよくお話を聞いてみると、建築中だったお家はInterviewに掲載している「南生駒の家」。そんな風にご縁がつながることもあるのですね。

生活様式が見直される今だからこそ、
どこまでもこだわりたかった。

「実際にkinotoと話してみた最初の印象は"すごく親身になってくれる"でした。どんな間取りがいいか、どんな暮らしがしたいか......いろいろ話を聞いてくれて。希望を紙に書く作業があったんですが、とりあえず思いつくだけ全部書いたのを覚えています」と、奥さま。

半ば勢いで書いた希望リスト。その次の打ち合わせで提案された設計プランには、ほぼすべての項目がかたちになっていたそうです。「ビックリしました!まさか全部叶えてくれるなんて」と、お二人は当時を振り返ります。一体、どんな希望を書かれたのでしょうか。

「ちょうど、コロナ禍の影響で僕のリモートワークがふえていたときだったんですよね。以前は毎日出社してほとんど家にいなかったけど、当時はほぼ家にいる状態。オンラインの会議中に子どもの声が入ってしまったり、子どもや奥さんに会議の声が聞こえてしまったり......息子が放課後、家に友達を招いて遊びたいと思っても、僕が仕事をしていたらそれもできない。そういう暮らしの悩みを解消できればと希望を書いたら、生活スペースと僕の仕事スペースを玄関で入り口をわけることで叶えてくれたんです」と、ご主人。

「私は、息子がリビング学習をできるようにしたい。でも個室もつくってあげたい、部屋干しも外干しもできるようにしてほしいとか......どっちつかずの要望が結構多かったかもですね」と、奥さまも続きます。

「これは我ながらよく実現できたなと思っていますが、奥さまはトイレの位置にこだわっていましたよね」と、kinotoのスタッフ。どうやら、トイレを使用する際の音がリビングなどに響かないようにしてほしいという要望があったようです。

「マンション暮らしの頃は距離が近い分、どうしても音が気になってしまって。今はキッチンの奥にトイレがあるので見えないし音も聞こえないし......すごくいい感じにしてもらえました」と、奥さまはとても嬉しそう。ちょっとした悩みかもしれませんが、毎日のことだからこそ改善したいものですよね。

「リビングのTVボードはあえて床から離してもらっています。細かいことですが、これもやってもらって良かった点ですね。ボードと床の間に空間をつくることでうまく奥行きを感じてもらえるようにしてもらいました。床にボードを直接置くと、そこで視界が遮られ部屋が狭く見えてしまう......せっかく造付けの家具なのだから、ならではの良さを出せて嬉しいですね」と、ご主人。

「他にもいろいろありましたよね。リビングの窓をなるべく大きくしたい、お掃除ロボットを収納できる隠れスペースがほしい、子どものおもちゃを入れるスペースがほしい、家事動線にこだわりたい、ウォークインクローゼットがほしい......」と、どんな打ち合わせを繰り広げたかを、kinotoのスタッフと振り返ります。

触れるもの、見えるもの、使うもの...
あらゆるものを新しい暮らしに合わせて。

「家を建てるからと、家具や家電もほとんど一新しました。冷蔵庫やダストボックスなどはもう予めコレを買う!と決めてkinotoにお伝えして。そのサイズに合わせて配置や高さを設計してもらっています。それまでは家具や家電を買うと言えば量販店にばかり足を運んでいましたが、ようやくこだわれるようになってきましたね」と、奥さま。

家電は黒をベースにしつつ、木の雰囲気に合わせて無垢や真鍮などの素材を使うように気をつけているのだとか。照明やコーヒーメーカー、インテリア小物など、ちょっとしたものにもこだわりを感じます。TVボードの上にある不思議な石のブロックは、「Tumi-ishi」という奥さまのご友人が手がけた作品だそう。kinotoの手がける木の家と、しっかり調和しています。

「この家ができてから、息子のいとこや祖父母がよく遊びに来てくれるようになりました。親戚が集まる拠点になっていますね」

現在の円形から楕円形に可動できるテーブルを選んだのも、たくさんの椅子が置いてあるのも、来客時のおもてなしを考えてのことなのですね。

家と庭をつなぐ広めのウッドデッキは、子どもたちが遊ぶスペースにもなっているのだとか。また、お庭では野球チームに通っているという息子さんが、ご主人やお友達とよくキャッチボールをして遊んでいるそうです。次々と出てくる日々のエピソードからは、今の暮らしを満喫されていることがよく伝わってきます。

玄関スペースを仕切りに、オン・オフの切り替えを。

ここからは、実際に家の中を案内してもらいながらお話を聞いていきます。まずは、ご主人が自宅で仕事に集中できるようつくられた個室へ。玄関から入って生活空間へと進む左側ではなく、右側にある扉を開けると、そこには土間床の個室がありました。

IT関連の会社にお勤めだというご主人の業務環境に合わせて制作されたデスクは、PCを置いても十分に余裕があり、コードなどの整理もしやすそうです。

「玄関越しに空間が区切られているので、仕事中に子どもがリビングで遊んでいても気にならなくなりましたね。土間なので靴を履き替えてこの部屋に入るんですが、その一手間がオン・オフの切り替えスイッチにもなって気に入っています」と、ご主人。

サイドの収納スペースには、ひと目でご主人の趣味が何なのか伝わってくるインテリアがちらほら。まるで趣味のギャラリーのように整頓されていました。こんな空間に囲まれて働ければ、仕事のストレスもかなり軽減されそうです。

「コロナ禍での家づくりだったこともあり、玄関に小振りな洗面台をつけてもらったんです。これが、趣味の道具を手入れするときにもちょうど良くて。土間だから気軽に掃除ができるし、後片付けも比較的やりやすいので嬉しいです」と、ご主人。

こだわり抜いた先にある、毎日の快適さと充実感。

「実際に住んでみて、やっぱり快適ですね。マンションやアパートとは全然違います。細かいですが、冬場でも窓に結露ができないし、1階のリビングにあるエアコンを1台稼働させれば、2階も含めて家中があたたかくなるんですよ」と、奥さま。

リビングやリネンルームからは、ご主人の希望だったという坪庭が見えます。この先、新たに木を植えるなどいろいろ工夫をしたいそう。

また、洗面カウンターの下がオープンになっているのは、奥さまの「椅子にかけて朝の支度などができるようにしたい」という希望に合わせて。オープンにすることで、椅子にかけたまま、足をのばしやすくなっています。意外と時間がかかってしまうヘアアレンジやメイクも、これならラクチンそうです。

他にも、キッチンと玄関を結ぶように設けられたパントリー、奥さまがちょっとした仕事をしたり息子さんが宿題をしたりするのにちょうどいいデスクスペースなどがあり、先ほど教えていただいた希望リストがひとつずつかたちになっているのがわかります。

コロナ禍の中でつくりはじめたHさま一家の新しいお家。そこには、家族で過ごす日々を豊かに、楽しく暮らすためのこだわりがたくさんつまっていました。家で過ごす時間がふえ、生活様式が見直されつつある昨今、家づくりに対する意識も変わっていくのかもしれませんね。