Interview

006. 家族の「らしさ」をそのまま表現した、心地の良い家

子どもが生まれて、夫婦2人での日々が家族3人の暮らしへと変化して......。Iさま一家が「家族が住む家」に選んだのは、奈良と大阪のちょうど県境にある自然溢れる山の麓。澄んだ空気と、やわらかな太陽の光がやさしく入りこむこの家での暮らしをのぞかせていただきました。

澄んだ空気と太陽の光を、家の中でも。

とある駅から車を走らせると、すぐに見えてくる住宅街。木々に囲まれ、昼時でもとても静かな雰囲気。耳を澄ませばいろんな鳥のさえずりが聞こえてくるほど自然と調和した、住み心地の良さそうな場所です。

Iさまの家のチャイムを鳴らすと、最初に顔を出してくれたのは3歳になる息子さん。お庭で遊んでいる最中でしたが、扉を開けて家の中へと招き入れてくれました。

まず驚いたのは、玄関から地続きになっているリビングの吹き抜けの高さです。大きな窓越しに、たった今、外で感じていた太陽の光や木々の雰囲気をそのまま感じることができます。

「私が、太陽の光を家の中でも感じていたいとkinotoにお願いしたんです」そう話しながら、ダイニングテーブルへと促してくれたのは奥さまです。

早速、Iさま一家の、家づくりの過程や今の暮らしのこだわりについて聞いていきましょう。

「以前は、駅前のマンションで暮らしていました。子どもが生まれる前から自分たちの家が欲しいねとは話していましたが、本格的に動き出したのは子どもが生まれて、暮らしが落ち着いた頃ですね。まず土地探しからはじめたんですが、土地関係の不動産会社さんに"工務店も並行して探した方がいいですよ"とアドバイスをもらって」と、ご主人。

実際、2人が想像していたよりも工務店探しには時間がかかったようで、アドバイス通り、早めに探しはじめてよかったと感じたのだとか。

「近所の工務店に話を聞きに行ったり、住宅展示場に足を運んだりしていく中で、自然派というか、無垢材を使っている家がいいと考えるようになったんです。でも、どこもアリモノ感が強いというか、無垢材に対するこだわりや個性を見出せないところが多かったんですよね。そんなとき、妻がkinotoを見つけてきてくれたんです」

「最初に見たのはSNSでしたね。どの家の写真もとっても素敵で、一度実際に話を聞きに行ってみようとなって」と、奥さま。

「最初からすごく丁寧で、みなさん優しかったんですよね。しかも、最初に話を聞きに行った翌日にはお宅見学までさせてもらえて。対応のスピード感や柔軟性にもすごく惹かれました。もう、ここに絶対お願いしようって」

何気ない会話から伝わった、家族の求める理想と心地。

最初のヒアリング時に提示した条件は、「家の中が明るいこと」「自然が見えること」「動線をよくすること」「家事が楽しくできること」。

「趣味やライフスタイルの話もいろいろしましたが、家の設計についてはこのあたりですね。そうしたら、最初に見せてくれた設計図がほとんど今の間取りそのままだったんです!」と、奥さま。

「和室を小上がりにするかフラットにするかとか、2階にトイレをつけるかつけないかとか、押し入れをどうするかといった細々した変更はいくつかありましたが、本当にほとんどそのままですね」と、ご主人も続けます。

「いきなりこんなに素敵で、本当に驚きました。うちはキッチンが壁に対して斜めに配置されているんですが、あそこに立って料理をしていると窓から外の景色がちょうどよく見えるようになっているんです。太陽の光もしっかり入ってくるし、子どもが庭で遊んでいても見守れるようになっていて......」

同席したkinotoの担当者と一緒に、当時を振り返る奥さま。「キッチンは、ワークトップの素材をどうするかもすごく悩みましたよね」「そうそう、私が人工大理石は何となくイメージと違うなと思って相談したら、いろいろサンプルを見せてくれましたよね」と、思い出話で盛りあがっています。

どこにいても、あたたかさを感じられる薪ストーブ。

お話を聞いている間、電車ごっこをして遊んでいた息子さん。リビング、和室、キッチン、洗面室、玄関......と、文字通り家中を駆け抜けていました。この動線の良さや、扉や壁で空間を閉ざさない設計も、開放感を感じる理由のようです。

「僕は寒いのがニガテで、暖房設備にこだわりたいと話したら、それなら床暖房か薪ストーブが適切だと言われたんですよね。さらに、床材を無垢にするなら、素材を傷めない薪ストーブが良いのではと提案されて。実際に暮らしてみると、火を付けるのもそこまで難しくないし、こんなに暖まるものなのかと驚きましたね。床は栗材にしたんですが、傷みなどもまったくないですし」と、嬉しそうに話すご主人。

これだけの開放感にも関わらず、薪ストーブに火を灯せば、家全体の温度がすぐに上がるそうです。

「薪を用意するのが大変かな?とも思っていたんですが、近所の公園や河川などで伐採が行われる際に、わけてもらえることが多いんですよ。費用が一切かからないので、すごく助かっています。親切なご近所さんが多くて、気軽にそういったお願いができるのも、暮らしやすさにつながっているのかもしれませんね」と、奥さま。

「この辺りは小さい子どもがそんなに多くはなくて。それもあってか、息子はご近所のみなさんにとてもかわいがられているんです。もともとすごくあたたかい雰囲気の地域ですが、この子の存在が、私たち家族をより早く溶け込ませてくれたんだと思います」

どんな未来を選択しても、住みやすい家になるように。

息子さんは、kinotoの担当者とも仲良し。電車ごっこを終えたあと、和室で一緒におもちゃ遊びを楽しんでいました。

「息子と一緒に建築途中の現場を見に行っていましたし、完成後もkinotoはこうしてちょくちょく様子を見に来てくれるので、今では"遊んでくれるお兄さん、お姉さんだ!"と思っているようです」とご主人。

「最初は、ぜんぜん話しかけてくれなかったんですけどね。少しずつ、慣れてきてくれました」と、kinotoの担当者。人見知りをしていたなんて想像できないぐらい、すっかり心を許していました。

今のところ、和室は息子さんの遊び場や客間として使っているそうですが、将来的には仏間、もしくは家族の一室として使うことも視野に入れて設計されたそうです。

「家族が増えるとか、実家の仏壇を引き継ぐとか......将来的にどうなるかわからないことって多いですよね。だから、いろいろな選択ができるようにしてもらいました。神棚として使える収納棚をつけてもらったり、奥の可動棚は外せば仏壇を置ける広さにしてもらったりしています。それから、真ん中の畳を取り外せば、掘りごたつとしても使えるんですよ」

また、2階には主寝室と子ども部屋の間に、大人でも子どもでも使い勝手の良いワークスペースが設けられています。子ども部屋は仕切りを付ければ2部屋にできるようになっていて、こうした細やかな設えは、kinotoの計らいによるものが多いのだとか。

「吹き抜けのスペースを広くしてもらった分、2階は限られた部屋数になっていますが、私たちはあえてそれがいいなと思っています。やっぱり、家族で過ごすリビングがいちばん気持ち良く過ごせる場であってほしいんですよね」

グリーンや小物は、自分たちらしく暮らすための必需品。

「家で過ごす時間を何よりも大切にしたい」と話すIさまご夫婦。平日のお仕事帰りの時間も、休日の家族の時間も、いつでもくつろげるようさまざまな工夫を取り入れています。

「工夫と言っても、本当に"私たちにとって心地良いかどうか"を考えているぐらいですけどね。インテリアなどはSNSを参考にしたり、色味を揃えたりはしていますが、基本的には私たちがどう感じるかを大切にしています」と、奥さま。

昔から大好きで集め続けていると話すグリーンは、成長にあわせてきちんと鉢を植え替えた形跡があり、とても大切に育てられていることが伝わってきました。料理をしているとき、ソファに座っているとき、帰宅したとき......生活のふとした瞬間に視界に入るように飾られています。

棚に視線を移すと、陶器の小物が上品に並んでいます。

「食器や小物を集めるのは楽しいですね。休日は家族で骨董市などに出かけることも多くて、少しずつ揃えています」

「このあたりは大阪にも奈良にもアクセスがしやすくて、便利なんですよ。でも、この家ができてからは外出の時間がちょっとずつ減ってきたかな。以前は買い物といえば日々のストレス発散的な要素もあったんですが、この家で暮らしはじめてからは気持ちも穏やかになったし、家の中でやりたいことも増えてきたしね」と、奥さまの顔を覗きながら楽しそうに話すご主人。その仕草から、奥さま想いであることがとてもよく伝わってきます。

「まだ子どもが小さいので、テーブルやソファといったみんなで使う家具は傷付いてもいいものを......という視点で選んでいますが、棚などは2人でこだわって選んでいますね。照明も、kinotoの広告で使われていたものを夫婦揃って一目ぼれして、問いあわせて付けてもらいました」と、奥さま。

息子さんは、もうすぐ幼稚園に通う予定だそう。そうなれば、緑の手入れやインテリアの雰囲気も少しずつ変えたいのだと話してくれました。

「どんな家に住みたいか」よりも、「どんな暮らしを送りたいか」という視点を大切にしてつくられたIさま一家の家。素材や設計のこだわりはもちろん、家具や小物といった細やかなところにまで、家族の想いがしっかりとこめられていました。