Interview

001. 趣味も生活も、すべての希望がかたちになった家

奈良県内のマンションに家族4人で暮らしていたA様一家。「最初は、家づくりについて、そこまで本気で考えていなかった」と話す家族が、自分たちの趣味やこだわりをめいっぱい詰め込んだ家に暮らすまでの物語をうかがいました。

じっくり話して、聞いて...... だから生まれた、理想の家。

「前に住んでいた家の近くにkinoto のギャラリーがあって。通るたびに、雰囲気が素敵だなと思っていたんです。とりあえず話だけでも聞きに行ってみないかと主人に話したのがきっかけでした。最初は、かなり気軽な気持ちでしたね」と、家を建てるまでのエピソードを語りはじめてくださったのは奥様です。

「そもそも、家を建てるのにどの程度の予算が必要なのか、期間はどのぐらいかかるものかなど、わからないことが多すぎて。でも、行ってみるとすごく丁寧に教えてくれたんですよ。それならできそうだな、このまま進めてみようか...... という話になり、家づくりがスタートしました」とご主人も続きます。

2人が最初に驚いたのは、kinotoの"ヒアリングの濃厚さ"だったとか。

「ヒアリングにすごく時間をかけてくれるんですよ。どんな雰囲気が好きか、どんな感じの家にしたいか、どんな家具を持っているのか......具体的な話よりも、抽象的な話の方が多かったですね。僕はお店を営んでいるんですが、そこの内装や雰囲気もわざわざ見に来てくれたりして」とご主人。

そして、数回のヒアリングを重ねて提案を受けた設計図は、完成した家とほぼ変わらないものだったそうです。

開放感のある家がいいとか、リビングは広くしたいとか、ふわっとしたことしか伝えていないのに、ここまで具体的なものになるものかと驚きました」と奥様。

「僕たちの要望をそのまま聞くと、予算オーバーになっちゃう部分も結構あったんですよ。そこをプロのアイデアで解消して、 "予算内で、でも僕らっぽく"してくれていたんです。家の隅々まで、すごく気に入りましたね」とご主人。

自分たちが住むためにつくられた完成イメージを見て、改めてヒアリングの重要性を実感。その後も、何度か話し合いをしながら変更を加えたり、実際に工事現場を訪れて調整をしたりして、少しずつ今の家へと近づけていったそうです。

今までの暮らしも、きちんと大切にできる空間に。

家の1階は、吹き抜けのあるリビングとキッチンスペースのみ。バスルームや寝室、子ども部屋といったプライベートな空間は、すべて2階に設置されています。

「空間を仕切る壁や扉を最小限に抑えた設計で、「開放感のある家に住みたい」という2人の言葉通り、玄関に入った瞬間から間取りの広がりを感じます。

「新しく買ったものや、住みはじめてからつくったものもありますが、基本的には前の家で使っていた家具や雑貨をそのまま使用しています」と教えてくれた奥様。インテリアは、どれもこの家のために誂えたかのように馴染んでいます。

天井から吊している照明は、旦那さまが選んだこだわりの逸品。夜になると、あたたかい灯りがリビング全体を照らしてくれるそうです。

「これは吹き付けのガラスを使ったものですね。僕は古道具屋とかが好きで、休日によく見に行ったりしています。この照明は掃除が大変なんですけどね。でも、自分たちが望んで選んだものだし、手入れも楽しんでやっています」

そう語るご主人の趣味は、かなり本格的なDIY。後から自分でも手を加えられるよう、家のところどころに、あえて"余白"を残しているそうです。

「玄関の物置棚やリビングの壁の棚なんかは、自分でオイルを塗っているんです。最初はもっと素材そのままの色だったんですが、少しずつ、好みの色に仕上がるよう調整していきました」

他にも、2階の廊下や寝室の壁に木のタイルを貼り付けたり、ランドリースペースにハンガーラックをつくったりするなど、さまざまなところにご主人の工夫が加えられていました。階段下に収納しているキャスターも、業務用の製品を取り寄せてアレンジしたものだそうです。

「庭の裏側にある小屋は元からあったものですが、今はDIYの作業場になっています」と語るご主人。この家で、まだまだやってみたいことがたくさんあるそうです。

何度も現場を訪れることで、使い心地の良いキッチンに。

ご主人のこだわりが"自分でつくる余白を残す"だとすると、奥様のこだわりは"自分にピッタリなキッチンをつくる"なんだそう。

「キッチンはかなりこだわりましたね。タイルなんかも理想の色が伝えられるように、絵の具を使って表現していました。棚の位置やシンクの長さ、幅なども、自分が使いやすい設計になっています」と奥様。

既に持っている食器や調理器具などをイメージしながら、細かいところまで何度も調整したそうです。

「建てている途中で、何度も担当の人と一緒にここを訪れて。まだ壁も何にもない状態でしたけど、"ここに棚があるって想像してください"なんて言われながら、高さを計ったりしていました。私は身長がそんなに高くないので、ここはこだわってもらって本当に良かったですね。子どもも使いやすそうにしています」

住んでから感じる、想像以上の住み心地。

また、音楽鑑賞の趣味もあるというご主人。リビングの壁一面に広がる造付けの棚には、たくさんのレコードが並んでいます。ここに並んでいるのは何年もかけて集めたコレクションの一部で、思い入れのあるものばかりなんだとか。

家族が眠りについてからでも自由に音楽が聴けるよう、2階の寝室とリビングをつなぐ窓には、開閉式の扉をつけているそうです。

「時間を気にせず、気兼ねなく音楽を聴いて過ごせるのは気楽でいいですね。でもそこの窓の扉、最初の設計図では扉がついていなかったんです」とご主人。奥様も笑いながら続けます。

「そうそう。私たちはそれを見て"窓ではなく壁にしてほしい"って言ったんですよ。でも、担当の人から"ここは絶対に開いていた方がいい"って強く言われて(笑)。その折衷案として開閉式の扉をつけることにしたんですが、いざ暮らしてみるとやっぱりこっちにして良かったと思いますね。窓からの景色が寝室からもよく見えるんですよ」

「開放的な景色は、何度見ても癒やしを与えてくれるんだとか。気持ちの良い日差しが寝室にまで入ってくるせいか、ご主人の生活は少しずつ朝型へとシフトチェンジしているそうです。

子どもたちの暮らしが、自由で、開放的に。

A様の家がある地域は、とにかく自然豊かな場所。お話を聞いている間も、2人のお子さんが仲良く庭を駆け回っていました。虫をつかまえたり、自転車に乗って競争したりと、のびのび過ごしています。

「この辺りは車通りも少ないし、子どもがいつでも自由に遊び回れるのがいいなって思います。前の家に住んでいたときは虫なんて苦手だったはずなのに、ここで遊んでいるうちに、どんどん平気なっていきましたね」と奥様。遊びながら自然が学べる環境は、子どもたちにとってもお気に入りの様子でした。

「暮らせば暮らすほど、この家にしてよかったと実感します」と話す奥様。実際に住んでから生じる不都合や後悔というものが、ひとつもないそうです。

「うちは木の素材を多く使っているので、住んでいく中でどうしても歪みなどは出てしまうんです。でも、kinoto に連絡したらすぐにケアしに来てくれるから安心だなって。むしろ、向こうから"最近どうですか?"と連絡をくれるので、相談しやすんですよね」とご主人。

住む前から、じっくりと話をし合う深い関係が築けているからこそ、住んでからも自由に意見が言えるのだと教えてくださいました。

そして、まだまだこの家で「やりたいことがたくさんある」と話すご主人。数年後にまた訪れたときには、今以上にA様一家らしい素敵な空間へと変化を遂げていることでしょう。